‹ブログ

SOP(標準作業手順書)の書き方:例つきでステップごとに解説

Amara ElaraProductivity
SOP(標準作業手順書)の書き方:例つきでステップごとに解説

SOP(標準作業手順書)は、チームが繰り返し行う業務のやり方を、誰でも従える番号付きの手順にまとめたものです。入れるべき項目、7つのステップでの書き方、形式の選び方、最新の状態を保つコツを、完成例とあわせて紹介します。

どのチームにも、一人しか本当のやり方を知らない業務があるものです。その人がいるうちは回りますが、休暇を取ったり、辞めたり、手が回らなくなったりした途端、毎回やり方が変わるか、誰もやらなくなってしまいます。

これを防ぐのが SOP(標準作業手順書) です。繰り返し行う業務のやり方を手順ごとに書き残すことで、チームの誰もが同じやり方で作業でき、新しいメンバーも同僚に1週間張り付かずに業務を覚えられます。

この記事では、SOPとは何か、何を書けばよいか、そして7つのステップでの書き方を解説します。SOPの形式の比較、完成例、よくある失敗、AIで下書きを早く作る方法も紹介します。

要点だけ知りたい方へ

SOPを書くには、まず繰り返し行う業務を1つ選び、どこで始まりどこで終わるかを決めます。実際に作業している人に話を聞き、動作から始まる番号付きの手順を書きます。誰が何を担当するか、例外、作業が正しく終わったと判断する基準を加えます。その業務をしたことがない人に下書きを試してもらい、最後にチームが普段使う場所に公開して、担当者と見直し日を決めます。

SOPとは

SOPとは、繰り返し行う業務のやり方を書いた文書です。業務の目的、関わる人、順番どおりの手順、作業が終わったと判断する方法を記録します。

よいSOPには、3つの効果があります。

  • 一貫性: 誰が担当しても、同じやり方で作業できます。
  • 早い立ち上がり: 新しいメンバーは、人に聞かなくても手順書に沿って作業できます。新入社員向けの30-60-90日プランと組み合わせるとさらに効果的です。
  • リスクの軽減: ノウハウが一人の頭の中だけにとどまらず、品質やコンプライアンスに関わる手順の抜け漏れも防げます。

SOPは、ほかの業務文書と混同されがちです。違いは主に、どこまで細かく書くかにあります。

文書 答える問い 例
業務フロー図 部署をまたいで、何がどの順番で起きるか 受注から配送までのフローチャート
SOP 繰り返し行う1つの業務を、誰がどう進めるか 返金依頼の対応
作業指示書 1つの手順を細かくどう行うか 決済システムで返金する方法
チェックリスト 完了前に何を確認するか 返金チケットを閉じる前の確認リスト

実際には、4つすべてが必要になることはまれです。中小規模のチームなら、必要に応じていくつかの詳細な作業指示書やチェックリストにリンクしたSOPで十分に回ります。

SOPに書くべき項目

すべてのSOPにすべての項目が必要なわけではありませんが、次の項目がそろっていると使いやすい手順書になります。

  1. タイトル: 部署名ではなく業務名をつけます。「サポート手順3」より「返金依頼の対応」のほうが伝わります。
  2. 目的: その手順書がなぜあり、どうなれば成功かを1文で書きます。例:「すべての返金依頼を2営業日以内に解決する」。
  3. 範囲: 業務がどこで始まり、どこで終わるか、何を対象外とするかを書きます。
  4. 役割: 各パートを誰が担当し、誰が判断するかを書きます。名前ではなく役割で書くと、メンバーが入れ替わっても使い続けられます。
  5. 始める前に: 必要なアクセス権、ツール、情報をまとめます。
  6. 手順: 番号を振り、順番どおりに、それぞれ動作から書き始めます。
  7. 完了の確認: 作業が正しく終わったと判断する方法を書きます。
  8. 例外: 通常の流れに当てはまらないときにどうするか、誰に聞けばよいかを書きます。
  9. 担当者と見直し日: 誰が手順書を最新に保ち、次にいつ見直すかを決めます。

SOPに入れる9つの項目:タイトル、目的、範囲、役割、事前準備、番号付きの手順、完了の確認、例外、担当者と見直し日

SOPを書く7つのステップ

1. 対象の業務を選ぶ

繰り返し発生し、複数の人が関わり、やり方を間違えると問題になる業務から始めましょう。返金対応、新メンバーの受け入れ、記事の公開、月末の報告、チーム間の引き継ぎなどが代表的です。

毎週のようにやり方が変わっている業務から始めるのは避けます。流れが落ち着いてから書かないと、手順書を何度も書き直すことになります。

2. 実際のやり方を知る

一番の情報源は、わかっているつもりの上司ではなく、実際にその作業をしている人です。最後にその作業をしたときの流れを説明してもらうか、作業している様子を見ながらメモを取りましょう。

次のような質問が役立ちます。

  • この作業は何がきっかけで始まりますか?
  • 最初に何を確認しますか?
  • どこでつまずきやすく、そのときどうしていますか?
  • 終わったとどう判断していますか?
  • 新しい人はどこを間違えやすいですか?

ノウハウがチャットや古い文書に散らばっている場合は、まず1か所に集めましょう。チームで共有するナレッジベースがあると、この作業がぐっと楽になります。

3. 範囲を決める

業務を始めるきっかけと、終わりを示す結果を書きます。例:「お客様から返金依頼が届いたときに始まり、お客様への返信が済んでチケットが閉じられたときに終わる」。

範囲がはっきりしていると、SOPの焦点がぶれず、どこで別の手順書に引き継ぐべきかも見えてきます。

4. 手順を書く

ここがSOPの中心です。次のルールを守ると、従いやすい手順になります。

  • 1つの手順に1つの動作: 「〜してから〜する」が入っていたら分けます。
  • 動作から書き始める: 「購入日を確認する」と書き、「購入日は確認されるべきである」とは書きません。
  • 具体的に書く: 実際の数字、ツール名、基準を使います。「最近」ではなく「30日以内」と書きます。
  • 実際の作業の順番に並べる: 実際には別の順番で作業しているなら、テーマごとにまとめないようにします。
  • 理由は役立つところだけ: 短い理由があれば、不要に見える手順を飛ばされずに済みます。

曖昧な手順とわかりやすい手順の比較:1つの手順に1つの動作、動作から書き始める、具体的な数字を使う

5. 役割、判断、例外を加える

複数の役割が関わる場合は、各手順を誰が行うかを明記します。流れが分かれるところでは、判断の条件をはっきり書きます。例:「注文から30日を過ぎている場合は、返信する前にサポートリーダーに回す」。

次に、ステップ2で聞いた例外を書き出します。例外は新しいメンバーが最もつまずく部分であり、最初の下書きからは抜けやすい部分でもあります。

6. 初めての人に試してもらう

その作業をしたことがない人に、手助けなしでSOPどおりに作業してもらい、横で見守ります。迷ったり、質問したり、想定外の動きをしたりしたら、そこが手順書の直すべき箇所です。

これが最も役に立つステップです。書き手は、気づかないうちに記憶で抜けを補ってしまいます。初めて読む人にはそれができません。

7. 公開し、担当者と見直し日を決める

SOPは、誰も開かないフォルダではなく、チームが普段作業している場所に置きます。サポートチケットのテンプレートや受け入れ用チェックリストなど、業務が始まる場所からリンクしましょう。

担当者を1人決め、見直し日を書き込みます。目安は6か月か12か月ごと、またはツールやルールが変わったときです。

SOPの形式を選ぶ

ふさわしい形式は、業務の複雑さによって変わります。

形式 向いている業務 例
シンプルなチェックリスト 慣れた人が行う短い定型作業 店舗の開店・閉店作業
ステップ形式 5〜15の手順で直線的に進む作業 ブログ記事の公開
階層形式 一部の手順にさらに細かい手順がある作業 月末の報告業務
フローチャート 判断や分岐がいくつもある作業 返金や苦情の対応

SOPの4つの形式:シンプルなチェックリスト、ステップ形式、細かい手順を含む階層形式、判断の分岐があるフローチャート

迷ったら、まずはステップ形式から始めましょう。重要な判断が1つだけあるなら、あとから小さなフローチャートを加えれば十分です。

SOPの例:返金依頼の対応

そのまま応用できる完成例を紹介します。

タイトル: 返金依頼の対応

目的: 30日間の返金ルールに沿って、すべての返金依頼を2営業日以内に解決する。

範囲: お客様からメールまたはチャットで返金依頼が届いたときに始まり、お客様への返信が済んでチケットが閉じられたときに終わる。チャージバックは対象外とし、決済トラブル対応のSOPに従う。

役割: サポート担当者が依頼を確認して返信する。サポートリーダーが例外を承認する。

始める前に: ヘルプデスクと決済システムへのアクセス権。

手順:

  1. メールアドレスか注文番号で注文を探し、購入日を確認する。
  2. 依頼内容を30日間の返金ルールと商品の状態に照らして確認する。
  3. 対象であれば決済システムで返金し、注文にメモを残す。
  4. 対象外であれば、返信する前に要点をまとめてサポートリーダーに回す。
  5. 結果と返金が届く時期をお客様に伝える。
  6. チケットを閉じ、「返金」タグを付ける。

完了の確認: お客様に返信済みで、注文に返金または断った理由が記録され、正しいタグ付きでチケットが閉じられている。

例外: 7日以内に報告された破損品は、返品なしで返金する。銀行振込で支払われた注文は経理チームが返金するため、注文番号を添えて転送する。

担当者と見直し: サポートリーダー。次回の見直しは4月。

プロジェクト業務なら、こちらのプロジェクト管理SOPテンプレートの構成と比べてみてください。

AIでSOPを早く書く

SOP作りで最も時間がかかるのは、散らばったノウハウをきれいな構成に整理する作業です。AIはまさにこれが得意です。

無料のAI SOPジェネレーターでは、同僚に説明するように業務の流れを書くだけで、Buildin Agentがタイトル、目的、役割、番号付きの手順、完了の確認をそろえた下書きを作ります。説明に足りない部分があれば、妥当な手順を補い、確認が必要な箇所として印を付けます。

手元にある資料から始めることもできます。会議メモ、チャットのやり取り、録音の文字起こしをBuildinのページに貼り付けて、次のように頼んでみましょう。

このメモを、目的、範囲、役割、動作から始まる番号付きの手順、例外、完了の確認を含むSOPにまとめてください。推測で補った部分には印を付けてください。

返金業務についての走り書きのメモを、Buildin Agentが目的、役割、番号付きの手順、確認が必要な項目を含むSOPの下書きに整理した様子

できあがったものは下書きとして扱いましょう。実際にその作業をしている人がすべての手順を確認し、現実と違う部分を直し、印の付いた項目を確かめます。そのうえで、ステップ6のように初めての人に試してもらいます。こうした作業をAIに任せる方法は、仕事で使うAIエージェントにできることでも紹介しています。

SOPを最新に保つ

古くなったSOPは、ないよりも悪い結果を招きます。手順書どおりに作業した結果、間違えてしまうからです。次の習慣で、手順書を最新に保ちましょう。

  • 定期的に見直す: 見直し日をSOPと担当者のカレンダーの両方に入れます。
  • 変化があったら更新する: 新しいツール、新しいルール、同じミスの繰り返しは、どれも改訂のきっかけです。
  • 意見を伝えやすくする: わかりにくい手順があれば、SOPのページに直接コメントできるようにします。
  • 変更点を残す: 末尾に短い変更履歴があると、何が変わったかがすぐわかります。
  • 問題から学ぶ: 何か問題が起きたら、SOPがなかったのか、わかりにくかったのか、守られなかったのかを考えます。なぜなぜ分析(5 Whys)やPDCAが役立ちます。

SOPでよくある失敗

  • 記憶だけで書く: 書き手は、当たり前に感じる手順を飛ばしがちです。必ず実際に作業している人に確認しましょう。
  • 文章が多すぎる: 長い段落があると、手順が埋もれてしまいます。説明は短くし、背景はリンク先のページに移します。
  • 曖昧な言葉: 「速やかに」「必要に応じて」「適宜」は、人によって受け取り方が違います。
  • 担当者がいない: 担当者がいないと誰も更新せず、手順書は少しずつ現実とずれていきます。
  • フォルダに埋もれている: 必要なときにすぐ見つからなければ、使われません。
  • 1つのSOPに何でも詰め込む: 別々の業務が混ざっているなら、手順書を分けましょう。

まずは1つの手順書から

SOPの効果を得るのに、完璧な業務マニュアルは必要ありません。質問やミスが最も多い業務を1つ選び、今週中に書き出して、同僚に試してもらいましょう。

最初のSOPが使われ始めれば、次からはもっと早く書けます。手順書は1か所にまとめ、業務が始まる場所からリンクし、チームで少しずつ改善していきましょう。素早く始めたいなら、AI SOPジェネレーターに業務の流れを書き、その業務に一番詳しい人と一緒に下書きを仕上げてください。

Amara Elara

Amara Elara

複雑なプロセスの可視化と製品教育の向上を専門とする。Buildinではユーザーサポート、製品チュートリアル、ビジュアルガイドを担当し、ユーザーのツール活用と生産性向上をサポートしている。

関連記事